(解説)50周年迎えた「神戸高速鉄道」とは 日本初の上下分離方式?

 開通50周年を迎えた「神戸高速鉄道」。ちょうど50周年の7日には新開地〜高速神戸間の地下街「メトロ神戸」で記念グッズの販売会が開かれ、盛況だった。阪神、阪急、山陽、神戸電鉄の4社は、6月30日まで記念ヘッドマーク(図=阪神電気鉄道の発表資料より)を付けた電車を運転する。この神戸高速鉄道、50年前に珍しい形の鉄道会社だった。神戸市の外郭団体でもあるというが、どういう鉄道会社なのか。

20180419神戸高速50周年ヘッドマーク

 神戸高速鉄道の電車には乗ったことがない--。そんな読者も多いだろう。それもそのはず。神戸高速鉄道は営業用車両を1両も保有したことがない。神戸高速線として湊川~新開地、西代~花隈・西元町の線路やトンネル、設備を保有。新神戸~谷上の北神急行線も線路などを保有しているが、旅客を乗せて走る電車はすべて、神戸高速鉄道の路線に乗り入れる他社の車両だ。現在は鉄道の路線を保有するだけの会社で、法的には第3種鉄道事業者と呼ばれる。現在、同社に所属するのは役員ら10人ほどだ。開業当初から施設の保有と鉄道の運行が別の会社だったというのは、いまでいう「上下分離方式」のハシリと言えるかもしれない。

 神戸市内に乗り入れていた民営鉄道は、もともと阪神が元町、阪急が三宮、山陽が電鉄兵庫、神戸電鉄が湊川に終点があり、その間は神戸市電(路面電車)で連絡していた。だが、当時の国鉄と同様に民間の鉄道会社にも神戸市の東西を貫通させようという機運の高まりが神戸高速線の建設につながった。「高速鉄道」は新幹線のような現代の高速鉄道ではなく、市電との比較でみて高速鉄道というわけだ。この計画の起点は終戦直後の1946年に定められた神戸市の復興計画。市電からシフトした鉄道ということもあり、外郭団体として神戸市が関与を続けてきたため別会社になっている。

 1968年4月の開業当初は駅の運営なども手掛けていたが、2009年に神戸市が保有資産の見直しで神戸高速鉄道への出資比率を下げたのが転機になった。現在は阪急阪神ホールディングス傘下の阪急電鉄と阪神電気鉄道が筆頭株主。阪神、阪急の合計で持ち分は約52%と支配権を持つ。これをきっかけに鉄道運行とともに駅などの運営も阪神が担当することになった。梅田・姫路間の直通特急などを運転する阪神と運転系統を一体化することで、ダイヤを効率的に組めるとの判断があったようだ。阪急阪神HDのグループ会社になったことで神戸高速鉄道は、やはり同じグループ会社の北神急行線の路線(新神戸〜谷上)を保有することにもなった。

20180419高速神戸駅

 経営上の課題の1つは運賃がJRに比べて割高になることだろう。阪神から神戸高速線に乗り継ぐと大人で10円安くなるなどの乗り継ぎ割引もあるが、鉄道会社をまたぐと初乗り料金が追加されるのは昔から変わらない。たとえば阪神御影から山陽須磨まで乗ると520円。JR神戸線でほぼ同じ区間の住吉から須磨までなら300円だ。神戸を東西に貫通するように電車に乗ると運賃が上がる分、JRに乗客を奪われる可能性が高まる形だ。(写真は湊川神社にある高速神戸駅への入り口)

 現在、阪急阪神グループは経営計画などに神戸高速鉄道の新線計画などは出ておらず、当面は現状の路線を維持することになりそう。ただ、仮に阪急神戸線が神戸市営地下鉄の西神・山手線と相互乗り入れをするようなら情勢が変わるとの見方が一部に出ている。現在は阪急が使っている神戸三宮~高速神戸間の線路が不要になる可能性が高いからだ。神戸電鉄が三宮に乗り入れられるよう、新開地から阪急の神戸三宮に線路を敷き直すことなどを想像している鉄道ファンもいるようだ。

 それ以前に、神戸高速鉄道は駅や隣接する地下街などの老朽化が進んでいる。現在はバリアフリー化の工事などが急ピッチで進んでいる。さらに、7日に記念グッズの販売会を開いた地下街「メトロこうべ」のバリアフリー化なども進める方針という。高速神戸、新開地、高速長田は市電が走っていた場所とも重なる古くからの市街地だ。地域の足として期待感は大きいとみられるが、沿線住民の高齢化にも対応する必要があるようだ。(神戸経済ニュース 山本学)

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