(解説)ビジネス需要を取り込めるか 規制撤廃「後」の神戸空港の姿は?

 4月1日付で神戸空港の運営権は、関西国際空港と大阪国際(伊丹)空港を運営する関西エアポートの子会社「関西エアポート神戸」に移り、神戸空港は民営空港になった。そもそも神戸市が民営化を目指すようになったのは、神戸空港の発着回数や運用時間を制限する規制を撤廃に持ち込むのがねらいと言える。足元は追い風だ。日本への観光需要の高まりで関西国際空港の混雑が顕著になれば、規制撤廃は案外早く進む可能性がある。そのとき神戸空港がきちんとビジネス需要を取り込めるかが、今後の空港経営のカギになりそうだ。(写真は神戸空港で出発を待つ航空機=1日朝)

20180401神戸空港駐機中

 神戸空港は不要論を押し切って関西国際空港の後に建設し、2006年に開港した経緯がある。このため関西国際空港の経営を圧迫しない配慮として、就航便は国内線のみで定期便は1日60便(30往復)まで。運用時間は午前7時~午後10時に規制されている。すでに便数の枠は埋まっており、 神戸空港が本来持っている能力を発揮できていないのが現状だ。関西国際空港と神戸空港の経営者が同じになれば、そもそも競合関係になくなるため規制も不要になると神戸市は目論んだ。

 現時点で関西国際空港には余裕があるとはいえ、政府が2020年に年間4000万人、30年に6000万人の訪日客誘致を目指す。大阪や京都といった人気の観光地を抱える近畿地方の空の玄関口は、一段と混雑することだろう。そうしたなかで、神戸空港の便数増や運用時間拡大に加え、国際線への開放は、新たな滑走路を建設することなく旅客数増に対応する最も適した方法だ。騒音問題を抱える伊丹空港を再び国際化するぐらいなら、本来は24時間稼働できる海上空港の神戸空港を活用するという議論にはなりやすいだろう。

 その際に、関西国際空港と神戸空港の「すみ分け」が議論になると考えられるが、答えは割に明確だ。関西国際空港は格安航空会社(LCC)などを活用した観光客が中心になるとみられ、観光客の人混みを避けたいビジネス客を神戸空港に振り分けることになるだろう。神戸市街だけでなく、大阪でもキタのビジネス街や電子部品メーカーが集まる京都府内に、より短い時間で到着できるのは、神戸空港だということもある。このため空港では専用ラウンジやIT(情報技術)関連サービスなど、ビジネス客がストレスなく利用できる施設整備は必須だ。

 新たに国際線ターミナルを建設することになった場合、ビジネス客が中心であれば本格的なターミナル施設でも採算が合いそうだ。さらに、その際は低価格化が進んでいるビジネスジェットへの導線も考慮したい。大型機で日本や韓国に到着した欧米の経営者が、レンタルのビジネスジェット機で日本国内や中国、東アジアを巡回するケースなども今後、増えそうだ。

20180401神戸空港需要予想

 ヒースローを含め5カ所に空港があるロンドンは別格としても、先進国の大都市圏に複数の空港があるのは特に珍しくない。大阪圏に3カ所の空港、4〜5本の大型機が離着陸できる滑走路があるのは、定住人口や今後の交流人口からみて、それほど違和感がないのではないか。関西エアポート神戸は2月28日に発表した中期経営計画で、便数や運用時間の規制が変わらないのを前提に、大型機の誘致などで2022年に327万人と、現在に比べ1割弱多い旅客数を予想する(表)。だが規制が撤廃されれば旅客数は急速に膨らむだろう。空港へのアクセス手段の強化は、検討を急ぐ必要があるかもしれない。(神戸経済ニュース 山本学)

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