神戸製鋼の石炭火力発電所、情報開示の姿勢を批判 神戸市長意見書

20171221神戸製鋼本社

 神戸市が2月28日に公表した、神戸製鋼所による石炭火力発電所の設置計画についての環境影響評価準備書をめぐる神戸市長の意見書では、神戸製鋼の情報開示に対する姿勢を批判した。準備書の審査中に神戸製鋼の検査データ改ざん問題が発覚したことで「事業者全体の信用を大きく損なうものであった」と指摘。「準備書に係る事業者の情報提供の姿勢には問題があると言わざるを得ない」との見解を示したうえで、神戸製鋼に信頼回復を求める異例の内容になった。(写真は神戸市灘区の神戸製鋼所本社)

 準備書を巡っては、神戸製鋼のデータ改ざん問題を受けて、神戸市と兵庫県が連携して準備書のデータを検証した。今回の意見書では、その際に「意図的な改ざんは見られなかったものの、検証の過程で転記の誤りや杜撰なデータ処理等が数多く確認された」と言及。さらに神戸製鋼による「準備書等の修正の内容は、直ちに審査会委員の理解を得られるものではなかった」という。神戸製鋼に「今後は正確な情報提供および誠実な説明によって信頼性の回復に努める必要がある」と指摘した。

 意見書では結論として石炭火力発電所の設置計画ついては「不適切であるとは言えない」とした。ただ「温排水に係る環境影響が懸念される等、周辺環境への影響が一定程度生じるおそれがある」という。「環境に配慮したより適切な環境保全措置を検討し、実施していく必要がある」と述べ、厳格な環境への配慮を求めた。

 神戸市は昨年8月8日から8回の神戸市環境影響評価審査会(会長・武田義明神戸大学名誉教授)をを開催。審査会が2月22日に提出した答申書をもとに市長意見を作成した。市長意見書は2月28日付で兵庫県に提出。兵庫県は芦屋市の市長意見書も勘案し、兵庫県知事意見を経済産業相に提出する見通しだ。

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