川重、ネットでヘリでの移動を手配 JTB向けに開始・30年に100億円目標
- 2023/03/23
- 02:49
【神戸経済ニュース】川崎重工業(7012)は22日、ネットを通じた簡単な手続きでヘリコプターを手配できるサービス「Z-Leg(ゼータレグ)」の運用を開始したと発表した。専用サイトに日時、出発地、目的地を入力するだけで、搭乗前後のタクシーやハイヤーの予約も含めて一括して空路での移動を手配するサービスだ。川重としては3月1日にサービス開始の準備を終え、旅行代理店大手のJTB(東京都品川区)に販売業務を委託する契約を結んだ。JTBはヘリコプターでの移動を組み入れた旅行商品の設定などに利用できる。
現時点では6社のヘリコプター運行会社、タクシー会社を提携し、東京ヘリポート、県営名古屋空港、神戸空港の3拠点から草津温泉(群馬県)、奥飛騨・上高地(岐阜県・長野県)、熊野(和歌山県)、日光(栃木県)へのヘリ移動が可能だ。目的地の近隣に川重専用のヘリコプターの着陸地を確保した。加えて、通常は1カ月かかることもある機体やパイロットの予約、関係当局への申請、ヘリポートからの移動手段の確保などの準備作業を、国産ヘリコプターメーカーとして申請などのノウハウを持つ川重が引き受ける。
国内では通常、1割程度しか稼働していないヘリコプターの稼働率を高めるのと同時に、時刻表や渋滞とは無縁のプライベートな空路での移動を旅行者に提供しやすくする。ホテルからヘリポート、着陸地から宿泊地など最終目的地までの送迎車も同時に手配。当初は富裕層の訪日客向けなどになるとみられるが、将来的にはスマートフォンなどを通じて、いつでも、どこでも、だれでも、ネットで簡単に予約できるようにしたい考え。業務用や個人向けなど、さまざまな販路を開拓することを想定し、2030年度の売上高100億円が目標だ。
今後は仙台空港、佐賀空港、八尾空港、広島ヘリポートなども利用できるようにしたり、九州や淡路島(兵庫県)での着陸地を確保したりと、さまざまなルートで飛行できるようサービスを拡充する計画だ。川重とエアバス・ヘリコプターズで共同開発した「BK117」シリーズなど、万一エンジン1つが停止しても、もう1つのエンジンで安全な場所まで移動して着陸できる双発機を選べるようにして、初めてヘリコプターに乗る利用者の不安をやわらげる。飛行時間が伸びれば点検需要も増え、既存のヘリコプター事業との相乗効果も出る見通しだ。(写真は最新型のH145//BK177 D-3=資料)
「ゼータレグ」サービスは、20年4月に開始した川重の社内公募制度「ビジネスアイデアチャレンジ」がきっかけになったという。同様に社内公募から事業化したサービスに、位置情報などを共有して駅などを利用する多くの人の空間認識をあぶり出すシステム「iPNT-K(アイピントケイ)」や、事業化した商品に前輪が2つの電動3輪ビークル「noslisu(ノスリス)」がある。
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