(寄稿)[神戸鳥瞰虫探し]貸家増加は続くか 大阪・貸家着工にピークアウト感

神戸鳥瞰虫さがしワッペン

 貸家着工動向に転機が訪れている。大阪経済圏では、一貫して貸家着工件数が増加していた。これに引っ張られる格好で、神戸市の着工件数も増加傾向をたどってきたが、ここにきて大阪市の着工戸数が頭打ち傾向を見せてきた。民間資金のうち、会社法人による着工が勢いを失いつつあるためだ。神戸市では依然として個人の貸家着工が活発だが、大阪市では個人資金での着工も減少傾向が見えてきた。神戸市は、減少場面でも大阪市の動向に影響されるだろうか。

 20170919神戸鳥瞰虫探しグラフ

 貸家着工が増加を続けてきた背景は需給双方から説明することができる。供給側からすれば、老後資金対策としての物件取得が上げられる。運用資産としての賃貸不動産取得もトレンドとなった。相続発生が増加し始めている中で、借入を伴う資産取得で有利な資産承継策も考えられる。歴史的な低金利が、アパート建設資金を貸し手にとっても売りやすい商品になっている。

 供給増加を受ける形で、雇用状況の改善が若年層向けに新たなニーズを生んだ。単身高齢者層の膨張も、需要を支えている。需給バランスの安定は、会社建設による貸家市場参入を活発化させてきた。大阪市では2014年頃まで、会社資金による貸家新築が個人資金の1.5倍程度に止どまっていた。今年3~6月には2.5倍を超える勢いになった。ただ、着工戸数は会社法人、個人ともに減少傾向。2~6月実績の着工戸数は会社、個人ともに昨年同月を下回った。

 神戸市の場合は会社、個人ともに昨年水準を上回る形で推移しており、大阪市とは様相を異にしている。ただ、神戸市は個人資金の比率が高い。会社法人と比べれば状況判断の機敏さで遅れがちだ。影響力が大きい大阪での需要動向から判断すれば、神戸市の動きも様子見期に入る可能性は高いように見える。
(候鳥)
=随時掲載します

▽神戸鳥瞰虫探しバックナンバー
日本酒の輸出拡大をリードしているのは誰? (2017/08/24)
変わる地域の雇用環境、神戸の新たな役割は? (2017/07/17)
おなか膨らす支出が膨らむ 外食増加も価格には敏感 (2017/06/18)
増え続けている大家さん 個人が供給する新築貸家 (2017/05/14)
から揚げ弁当、神戸で上がる 価格か商品力か? (2017/04/09)
断捨離、その社会的効果のほどは ゴミ排出量と景気 (2017/03/12)
義理がすたればこの世は・・・景気とチョコレート (2017/02/12)
創業地人気に新潮流、大阪・神戸より阪神間か (2017/01/11)
神戸ビーフに2つのトランプ効果 高級感は高まるか? (2016/12/11)
関心は政策効果に移るかもしれない スタジオアタオ上場 (2016/11/04)
10月の空に仰ぐのは物価か嘆きか (2016/10/10)
妥協点探しはなおも将来課題 「介護」と「支援」 (2016/09/14)

関連記事

広告

コメント

コメントの投稿

非公開コメント

広告

広告

カレンダー

03 | 2024/04 | 05
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 - - - -

広告

★神戸経済ニュースからのお知らせ

広告